
CHAPTER:01
空前の人手不足に、
悲鳴が上がり始める。
2003年に入社以来、加藤は、経営企画室、海外企画室、物流企画室など、ずっと企画部署に携わってきた。
現在所属する物流企画室は、安全・品質・納期・コスト・環境の視点で、最適物流を企画することがミッションである。ただ、そのミッションは、そもそもドライバーがいなければ成立しない。そこで加藤が取り組んでいるのが、「ドライバー確保プロジェクト」である。
トヨタ輸送では、完成車輸送の9割を外部の運送会社に依頼している。そんな協力会社各社から、窮状を訴える声が次々と寄せられるようになった。
「ドライバーを募集しているが、全然集まらない」
「採用してもすぐ辞めてしまう」
協力会社の安定経営がなければ、トヨタ輸送の責務である完成車輸送の完遂は難しくなる。そうなれば、結果的に元請けであるトヨタ輸送の責任が果たせなくなってしまう。
「なんとか手を打たなければ・・・」
加藤たちはこうした強い危機感を背景に、ドライバー確保に向けたプロジェクトを推進していくことになった。