CHAPTER:01

憧れの職場で得た、
インドネシア出向のチャンス。

 2004年、千葉営業所で社会人生活の第一歩を踏み出した安田は、その3年後、海外事業部へ異動することになった。トヨタ輸送が本格的に海外展開に乗り出して以来、「いつかは働いてみたい」と願っていた憧れの職場だ。
 そして2年半後、中国の現地法人のサポートを行う安田に、さらなる転機が訪れる。インドネシアへの出向である。現地法人からの派遣要請を受け、2010年1月、トヨタ輸送からの初の出向者としてインドネシアに赴任した安田。インドネシア全土の完成車輸送を担う部署で、販売店向けの物流プロセスの改善活動に携わった。
 肩書きは「エグゼクティブ・コーディネーター」。現地の地図を頼りに、どこにどれだけ物量があるのか、どれぐらいの日数を要するのかなどを調べ、物流に関わるデータの見える化に取り組んだ。
 充実した3年間を過ごし、2013年1月に本社の海外事業部へと帰任。その後は一転、南米アルゼンチンを担当することになる。そんな折、安田に新たな話が舞い込んだ。インドネシアへの事業進出検討だ。
 トヨタ輸送にとって海外事業を切り拓く大きなチャレンジである。思いがけない誘いだったが、安田は逡巡することなく快諾した。そして、事業進出検討の先発隊として、上司とともにインドネシアに乗り込んだのである。

CHAPTER:02

発展著しい東南アジアの地で、駆ける。

 「相変わらず勢いのある国だな」
 再びインドネシアの地に降り立った安田は、車でごった返すジャカルタ市内を見回しながら感慨にふけっていた。インドネシアの人口は約2億6000万人。日本の2倍の人口を抱え、平均年齢は29歳と圧倒的に若い。日本の高度成長期と同じように、人口ボーナスの恩恵を受けて急激な発展を遂げている最中。街には若者があふれ、活気に満ちている。
 安田をはじめとしたメンバーに課せられたミッションは、インドネシアでの完成車物流事業参入の足がかりとなる合弁会社設立の検討である。インドネシアでは、荷物輸送部門での外資との合弁会社設立にあたっては外資規制が設けられており、トヨタ輸送がインドネシアで会社を設立する際には、現地のパートナー企業と合弁会社を立ち上げなければならない。そのためにはまず、パートナーとなる企業を選定する必要があった。候補に挙がった企業は2社。

 それぞれの企業を訪問し、トップとの面談や現場確認を行った安田たちメンバー。そして、ルール遵守の大切さがスタッフ全員に浸透しており、安全に対する意識もより高い会社をパートナーに選んだ。
 「この会社であれば、私たちと思いを共有し、良いパートナーになれるに違いない」
 パートナー選定を託されたメンバーの胸中には、確信めいた思いがわき上がっていた。



CHAPTER:03

終わりの見えない、トップとのタフな交渉。

 パートナーとなる企業とは、ともに手を携えて合弁会社を設立することになる。インドネシアで長らく事業を続けてきた物流会社だけに、タフな交渉になることは明らかだった。
 合弁会社設立に向けた条件を交渉するため、相手先の社長と何度も面会を重ねる安田たち。無論、簡単に話が進むわけではなかった。

 客観的な評価に基づいてこちらが妥当だと思う条件を提示したつもりでも、先方はなかなか首を縦には振らない。創業者である父から経営を引き継いだ先方の社長は40代。アメリカの大学で経営を学び、国際感覚にも優れている。長年の取引からトヨタの考え方も熟知する敏腕経営者だ。ましてやインドネシアは、今後の成長が見込まれる国である。4カ月ほどかけて粘り強く条件面を摺り合わせた結果、やっとの思いで契約を締結する段階までこぎ着けた。
 契約後は、社長と笑顔で握手を交わし、記念撮影を行った。安田の脳裏には、これまでの交渉の過程が走馬燈のように蘇った。握る手には、自然と力が入っていた。

CHAPTER:04

異国でこそ味わえる、自己成長の実感。

 ただ、プロジェクトは、契約合意を取り付ければ完了するわけではない。新会社を円滑に始動させるため、物流企画や安全・品質、輸送機器を担当する社員なども参画し、互いに連携しながらプロジェクトを力強く推進していった。
 新たに設立した合弁会社には、事業や保有資産、人材のすべてを移管することになる。これまで働いてきた現地スタッフからすれば、母国の企業から日本の企業に変わることになるため、不安から抵抗を受けることも予想された。ただ、プロジェクトメンバーが日常的にコミュニケーションを取ることで、現地スタッフとも徐々に打ち解けていった。
 そして、2018年1月に新会社の営業開始を果たし、メンバーが総力を挙げて取り組んだ一大プロジェクトがここに実を結んだのである。

 現在、安田は海外事業部を離れ、本社の『ゼロからの改善推進部』で勤務している。会社設立を見届けた2018年7月、この部署に異動することとなった。
 現地でのタフな交渉は、安田のコミュニケーション力を鍛え上げた。「もちろん語学力は身に付きましたし、上司とともに交渉の矢面に立つことで、全く意見が違う人との話のまとめ方を学ぶことができた」と安田。時に歩み寄り、時に突っぱねながら、互いの妥協点を探り、最良のゴールへと着地させる。そんなインドネシアでの経験は、安田を大きく成長させた。「今の部署ではトヨタ物流方式や改善手法などを学んでいます」。そう語る安田は、現在の部署でも貪欲に学び、さらなる成長を続けている。

その他エピソード

  • 社員インタビュー

    まずは 現場 を知ることから。
    ドライバーが働きやすい
    職場づくりを目指して。

    車両事業部
    物流企画室 主幹
    加藤 洋平

  • 社員インタビュー

    インドネシアでの合弁会社設立。
    タフな交渉の末に得た
    確かな成長と自信。

    ゼロからの改善推進部
    現場改善室 主任
    安田 辰徳

  • 社員インタビュー

    日本一の取扱台数を誇る
    高岡営業所が取り組んだ
    「ゼロ」へのチャレンジ。

    高岡営業所 所長
    磯村 直樹

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